風の歌を聴きながら

韓国語レベル万年中級者の気まぐれ翻訳ブログ。

JAY PARK パクジェボム インタビュー(HIPHOPLE)【和訳】

인터뷰 - 박재범(Jay Park)

2018.05.28

 

パクジェボムは休む暇もなく走ってきた。レーベルAOMGを設立し、メンバーを集め、その後は誰よりも共同体と個人のために努力した。何枚かのアルバムを通して自身のラップとボーカルを認められたりもした。時間が過ぎ、彼は古い友人であり音楽的な同僚でもあるチャチャマローンと一緒にレーベルH1GHR MUSICを設立した。若く、可能性のあるミュージシャンを引き入れ、AOMGと似ていながらも異なるカラーを持ったレーベルを作るのに力を注いだ。今やレーベルのトップでありベテランの貫禄も出てくる頃、彼は新しい挑戦を始めた。アメリカのメジャーレーベルRoc Nationと契約し、再び新人の道を歩むのだ。常に挑戦する彼の人生にはどんなストーリーがあるだろうか?また、Roc Nationとの契約とデビューシングルにはどんなストーリーが込められているだろうか?韓国を越えて世界の市場で活動することになったパクジェボムに会い、話を交わした(インタビューは3月末に行われたもので、本記事とは時差があることを先に断っておく)。

 

こんにちは。まず簡単にHIPHOPLEのファンの方に挨拶をお願いします。

HIPHOPLEのファンの皆さん。僕はAOMG、H1GHR MUSICのパクジェボムです。こんにちは。

 

本格的に始める前に、2月に開かれた韓国ヒップホップアワーズ2018(KHA2018)で、今年のアーティスト部門にて昨年に続き受賞しましたよね。簡単に感想を聞きたいです。

まずは光栄です。僕がTVにあまり出なくても、僕の活動や努力や情熱を知ってくださる方がだんだん増えていて嬉しいです。以前は僕の気持ちや態度や音楽に対して疑いの目で見てくる人もいましたが、今は気付いてくださっているようで一味違う気分ですね。

 

年始には単独コンサートを二日間に渡って開催もしました。4年ぶりの単独コンサートでしたが、特別な思いはありましたか?

とりあえず、非常に疲れました(笑)僕が4年ぶりに単独コンサートをしたわけです。その間アルバムもたくさん出して、色々と活動もたくさんしました。AOMGもできて、H1GHR MUSICもできて、Roc Nationに入って。でも多くが団体での活動でした。AOMGとして公演をたくさんしました。そうしているうちに僕の以前からのファンの方たちから「単独コンサートはいつするの」とよく聞かれました。でも当時は単独コンサートができる状況ではありませんでした。中途半端に準備するわけにはいかないじゃないですか。しかも僕の音楽や色々なことの焦点が当時はAOMGの方に集中していて、進行できる環境じゃなかったんです。でも今はAOMGも地位を確立したし、H1HGR MUSICも一生懸命やっているから、「ソロ公演をファンに見せなきゃ」という気持ちになりました。もちろん、どうすれば特別にできるだろうかってたくさん悩みましたよ。でもやりたい曲があまりに多いんです。だからコンセプトを完全に分けようと決めました。もともとは二日間まったく違う曲でやろうとしましたが、そうすると死にそうだったので(笑)2部は同じ構成で、1部だけ変えました。準備期間は本当に大変でしたが、僕なりにかっこいい公演をファンの皆さんに披露できたと思います。それから僕の公演を一緒に準備してくださった方たちもこの公演に対してのプライドがあったし、ファンの皆さんも喜んでくれました。いい思い出です。

 

多くの人が気にかけているRoc Nationとの合流について本格的に聞いていきたいと思います。まず、どのようにして契約することになったのですか?

2016年にAOMGがアメリカツアーをしたんですが、NYもそのうちの一箇所でした。たしかその時の公演は完売しました。ちょうどRoc Nationで勤務している偉い人のアシスタントが韓国の方でした。その方が「AOMGがNYで公演をするけど、売り切れだ」「見に行ったほうが良さそうだ」とTIDALのあるスタッフに話をして、その方が僕たちの公演を見に来ました。初めは韓国人の公演だからってK-POPを思い浮かべて、僕たちがグループで踊るアイドルだと思ったみたいです。でも僕たちがヒップホップとR&B音楽をして、観客も東洋人は少なかったにも関わらずみんな合唱しているのを見て衝撃を受けたみたいですね。その後、僕たちにミーティングを提案してきて一緒に働くことについて話し合いました。正直いうと、初めは詐欺だと思いました(笑)そういう人があまりも多いので。継続して関係を発展させていったら誤解が解けましたけどね。それからTIDALのその方がRoc Nation側に僕の情報を渡しました。その頃ちょうど[EVERYTHING YOU WANTED]が出たんです。以降Roc Nationの方でも僕のアルバムを見て、コンテンツが出て、音楽を聴いたりしていたら、もともとは流通だけやろうとしていたところに、いっそレーベルとして進めるのはどうかという提案が来ました。それで運良くRoc Nationに入ることになりました。

 

始まりは運が大きく作用したんですね。

そうですね。[EVERYTHING YOU WANTED]は英語が半分、韓国語が半分じゃないですか。僕が英語で作った曲はそんなに多くなかったので、そのアルバムでは英語の曲を少し多めにやろうとしていたんです。そしたらそのタイミングでRoc Nationと運良く出会ったんです。運命のように進んでいきましたね。僕たちが訪ねていったり、オーディションを受けたり、デモを送ったり、そういうのは一切ありませんでした。

 

音源活動に関するレーベル契約だけしたんですか?

はい。レーベル所属アーティストです。音楽を一緒に出す形態です。マネジメントは音楽と別に、僕が芸能人として活動する全てを管理するんですが、そういう契約はしませんでした。純粋に音楽の発売に関するレーベル契約です。

 

アメリカ内だけでなくワールドワイドに契約されたんですよね?

Roc Nationから出る全ての曲は全てワールドワイドに発売されます。韓国を除いて。韓国ではAOMGで。でも実際、僕がある曲を出したいってなってもRoc Nationから出す必要はありません。例えば、少し前に発表した"Forget About Tomorrow"はRoc Nationを通して出したわけじゃありません。自分たちで出したんです。要するに自由に活動できる契約ということです。

 

Roc Nationのブランチに参加した写真がSNS上で大きな話題になっていました。憧れていた有名なミュージシャンたちに会ったという点でちょっとしたファン心もあったと思います。

そうですね。活動しながら多くの芸能人に会ってきましが、ものすごく有名な方でないと僕はあまり写真を撮りません。なぜかというと、その方たちが煩わしがるかなと思って。配慮して写真をあまり撮ろうとしません。ですが、今回のRoc Nationの行事では全員と写真を撮りました。あまりに不思議で(笑)今年は本当にファンとしてその場にいて、来年は同僚として一緒に写真を撮ろう、この人たちに認めてもらおう、という気持ちになりました。後々、この人たちの方から僕と写真を撮りたいと思ってもらえるように一生懸命やらないとです。

 

実際に会ったアーティストのうち、一番印象に残っている人は誰ですか?

もちろん、もちろん、もちろんJay-ZとDiddy、それからBeyoncé、この3人です。Jay-Z、Diddy、Beyoncéは芸能人の中の芸能人じゃないですか。僕も小さい頃にこの人たちのCDを買って、部屋で聴いたりしていましたが、本人がまさに目の前にいたわけですよ。でもそんなに話はできませんでした。本当にただ挨拶をしただけです。我々を信じてくれてありがとう、と。

 

Jay-Zからはどんなオーラを感じましたか?

本当にかっこよかったです。若干、組織のボス、マフィアのボスみたいな服装だったので。なんか世界の全てを手に入れたような余裕とswagを感じました。

 

もっとたくさん話せたら良かったですね。

そうはいきませんでした。なぜなら、そこに来ていた人たちがみんなJay-Zと話そうとしていましたから。しかもそこでは僕はまだ成果がないじゃないですか。だから成果を出してから、「今ならJay-Zも僕にかける言葉があって、僕も会話をすることができるだろう」って、その時が来てから深い会話をすればいいんです。全てにおいてタイミングがあります。でもいつかはそういう機会が必ず生まれるだろうと思います。Roc Nationのスタッフたちが言うには、Jay-Zが遠くから全て見守っているそうです。どこかで偶然出会ったら、いきなり一時間も僕の活動について話をしてアドバイスできるような人だと。それが確かだと思ったのが、実は「Jay-Zが僕のことを知っているだろうか?」とずっと考えていたんです。でもブランチの日にビヨンセ、女王がちょうど近くに来て、目が会ったので挨拶をしました。「僕はJay Parkです」と言ったら、「あなたのこと知ってるわ。あなたすごく上手じゃない」って言われたんです。ビヨンセRoc Nationでもないのに、僕を知っているということ自体がとても不思議でした。それから僕を知っているというのがどういう意味かと言うと、Jay-Zから聞いたということじゃないですか?僕はそう解釈しました。家でJay-Zがパソコンで動画を見ながら「ちょっと見てごらん」って言うのが想像つきました(笑)Jay-Zが直接関わっていなくても、全部分かってくれているんだなと思いました。

 

Jay-Zは若干ツンデレスタイルですね(笑)

ああ、そうですね。忙しいですから。僕も分かります。なぜなら、僕も会社が2つあるし、やっていることも多いし、アーティストでもあるので、忙しい状況は十分に理解できます。きっと今後もっと多くの会話を交わせる機会があるはずです。

 

噂ではRoc Nationの最終契約書のサインを実際にJay-Zが行ったそうですが、本当ですか?

当然でしょう。Roc Nationに上がる写真や文章など、全てのことをJay-Zが最終決定をしているそうです。僕たちも契約写真をアップしようとしたんですが、スタッフの方がJay-Zが子どもたちと遊んでいるから、数時間だけ待ってくれと言われました。本当に全て見てくれてます。すごいです。

 

Roc Nationから最初のシングルが出るじゃないですか。簡単に曲について説明をお願いします。

最初のシングルは"Soju"という曲です。プロデューシングはWoogie、それからフィーチャリングは2 Chainz。曲のタイトルをなぜソジュにしたかと言うとですね。多くの人が、アメリカの会社と本格的に活動するとなったときに韓国っぽいものを出すとちょっとダサくなるんじゃないかって心配して避けると思うんですが、僕は反対に人々が考えるダサかったり避けようとするものをかっこよく作ろうと思ったんです。黒人であれ、白人であれ、誰であれ、韓国の文化と韓国の人たちを見て「ソジュを飲みたい」「かっこいい」って思ってもらえたら嬉しいです。そういう過程を通して、文化が混じり合いながら壁が壊れていくんです。アメリカで活動するからと言って僕が僕らしくない、わざとらしい活動をするのは違うでしょう。フィーチャリングも、Roc Nation側から2 Chainzはどうかと提案されました。2 Chainzが"Soju"という曲で韓国のラッパー、韓国のプロデューサーと一緒にやるのはすごくクールだと思いましたね。2 Chainzも曲を聴いて良いと言ってくれて、すぐにフィーチャリングの話しがまとまりました。全体的に曲も新鮮で、満足に仕上がりました。僕の個人的な願いは、人々がHenessyみたいなお酒に言及するみたいにソジュにも言及してくれたらと思います。なんというか、かっこよくなってくれたら嬉しいです。韓国のかっこよさをソジュを通して見せるんです。

 

ソジュ自体がかっこいいお酒になるのが目標でもあるわけですね?

そうですね。実際のところ、ヒップホップは韓国の文化ではないじゃないですか。でも僕がヒップホップをやっているから、この文化になにか力添えしたかったんです。それで韓国的なカラーとかっこよさを増すために努力中です。飲んでもらえるかどうかは分かりませんが。

 

タイトル通り「ソジュ」をテーマにした歌詞が印象的です。実際にパクジェボムさんはソジュがお好きなんですか?

もともとは違いました。洋酒やシャンパンをよく飲んでいましたね。でも少しずつ歳を取るにつれてソジュをよく飲むようになりました。前はクラブによく行っていましたが、今は静かな場所に行ってヒョンたちとソジュを飲んで、プデチゲとかカムジャタンとかを食べて(笑)

 

今回の曲もそうですし、あるタイミングから比喩を活用した歌詞が目立つようになった気がします。

実は、僕は以前はCanibusやEminemMos DefNasみたいに若干リリカルなラッパーがすごく好きでした。あ、それからFabolousも好きでした。だからパンチラインと比喩を英語でたくさん書きました。でもオフィシャルに韓国語でやろうとしたら、初めはものすごく違和感がありました。なぜなら、韓国語が上手くなかったから。だからそれがおかしいのか幼稚なのか、よく分かりませんでした。韓国人にとっては変に聞こえたでしょう。今は自分でも聞けませんね。でもそれも僕が今に至るまでに経験してきた過程だと考えます。僕は色々と歌詞を慎重に書いている気がします。ササッと書きはするけど、それでも慎重にやろうと。

 

[Worldwide]を起点にオールドスクール、ニュースクールを選ばず、パクジェボムさんのラップの実力が相当向上したと感じます。

僕はもともと趣味としてラップをやっていて、ダンス音楽やR&B、ポップサウンドの方を多くやっていました。でも<Show Me The Money>に出てかなり刺激を受けました。それでラップトラックの作業をたくさんしました。それだけレコーディングもたくさんしたし、自然と発音も良くなりました。たくさん書いたのでもちろん発展するし伸びるでしょう。今はもうご飯を食べるのと同じ感じでやってます。

 

ジェボムさんが考える「良いラッパー」の基準はなんですか?「歌詞」「フロー」「ライム」など様々な要素があるじゃないですか。

僕はなによりも真摯さが一番大事です。言葉を放つということに対する責任感と、文化に対する態度が最も重要だと思います。どんなにラップが技術的に上手くても、そういう姿勢がなければ僕はたいしたことないと感じます。その人が微妙だというよりも、単に僕の好みではありません。僕が感じるかっこよさがないです。僕はこの3つが一番重要だと思います。文化と音楽に対する姿勢、真摯さ、それから自分が放つ言葉に対する責任感。ラップは言葉通り、練習すれば伸びます。それは誰でもできます。ヒップホップが韓国で発達している文化ではないので、世間は<Show Me The Money>が終わったらラップに対する関心を失います。テレビと繋がっていたり、ホットな人がフィーチャリングしたり、もしくはチャートで上位に入るスタイルが決まっています。まだ深くありません。変化があれば嬉しいです。もちろん、そうやって変えようとしている方たちがいらっしゃいますよね。引き続き頑張ってほしいです。

 

続いて、"Soju"について話をしていきますね。先程も少し話に出てきましたが、フィーチャリングが2 Chainzです。他の候補もいたのでしょうか?

他の候補もいましたよ。候補だけならそりゃ多いですよ。Jay-Zも候補でした。でもそれは不可能じゃないですか。まずはこの曲によく合う人をフィーチャリングにしたかったんです。PnB Rockもいましたね。

 

2 Chainzの結果については満足ですか?

非常に満足してます。ひとまず2 Chainzが「ジェクスンタン」「焼き網カルビ」「もう一杯」という歌詞が出てくる’Soju'というタイトルの曲に登場ということが不思議でしょう。2 Chainzが一緒だというのが僕はすごくかっこいいと思います。それから韓国の大衆だけでなく、外国にいる方たち、ヒップホップ産業にいる方、ヒップホップコミュニティがどんな反応をするか本当に気になります。「ソジュってなに?」「2 Chainzがなんでここに?」「一体どんなコラボ?」といった反応が楽しみです。

 

サウンド自体がトラップ基盤の曲じゃないですか。だから2 Chainzと非常によく合っていますね。

僕は決して2 Chainzが有名だから作業したのではありません。言葉通り、曲に合いそうだからです。この音楽の完成度を高めてくれそうだからコラボしたのであって、有名だからといってお金をかけてまで似合わない曲に無理にしたくはありません。僕はわざとらしいのは嫌いです。僕が聴いたときに心の中でこれが正しいと思えは良いんです。上手くいってもいかなくても、人々が気に入っても気に入らなくても、悪口を言おうが称賛しようが、僕の頭の中で、心のなかで正しいと思えれば僕は良いです。

 

今回の曲のミックス/マスタリングは、Grammy Awardsの受賞者でありビヨンセの"Single Ladies"を担当したJaycen Joshuaさんが、エンジニアリングしました。実際に技術的に違いはありましたか?

確実に違いますね。ダンピングも半端じゃないし、ヒット曲のクオリティとサッパリさがあります。Roc Nation側でも激賛でした。絶対にこの方とやらなけらばならないと(笑)今までは自分たちのやり方でやってきましたが、「僕たちもこうやって一回やってみよう」ということでOKしました。なぜなら、僕は常に何かを学ぼうとしていますから。

 

今回の新曲が出たら、人々がアルバムについても気にかけると思います。夏に出せそうだとおっしゃっていましたが、お知らせできるような具体的な情報はありますか?

まず僕がRoc Nationに合流したあと、曲を送りました。 そうしたら一緒にEPを準備しようという返答が来ました。それで僕が「どんな方向性で行こうか」と言ったら初めはラップ、ヒップホップでやってくれたら嬉しいと言われました。まずはヒップホップコミュニティの方で認めてもらおうと。なぜなら、反対のことをするのは難しいからです。ずっとポップやチャート曲をやってから後からラップをしようとすると、色々と難しいです。だから初めからヒップホップ方面で確実に掴んで行こうと、ラップ曲をかなりレコーディングしました。それが昨年のピークでした。<Show Me The Money>の撮影をして、<Asia's God Talent>の撮影をして、あちこち行ったり来たりする中で約15〜20曲を作業して送りました。

お互い初めての共同作業じゃないですか。僕もRoc Nationを把握して、Roc Nationも僕がどんなアーティストなのか把握する時間が必要でした。なぜなら、やり方が各自違うので。音楽作業をどのようにするのか、僕が望むものはなにか、知名度のあるアメリカのプロデューサーと一緒にやりたいのか、ゴーストライターが必要なのか、全てのことが違います。僕はとりあえず僕がどんな人間なのか見せるために曲をたくさん送りました。プロデューシングも全部インハウスで。GroovyRoom、Gray、Cha Cha、Thurxday。なぜなら、僕も見せたかったので。世間の人はアメリカが韓国よりもずっと優れていて、韓国は全部アメリカのスタイルを真似しているという、先入観というのかな?韓国人同士でもそれが激しいです。僕がそれを壊したかったんです。自分たちで作業をしてもこの人たちに引けを取らないくらいクオリティがいいということを見せたかったんですよね。意外にもRoc Nation側でも反応がすごく良かったです。それで今回のEPは全て僕の会社の人たちのビートです。

 

音楽スタイルはどのように持っていきましたか?

音楽スタイルはずっと変わっています。初めはラップ、ヒップホップで固めましたが今はもう混ざってます。R&Bもあるし、ポップな曲もあるし、ラップのトラックもあるし、フィーチャリングも多様です。ひとまず完成度の高いEPだと思います。それからこれもすごく嬉しかったんですが、もともとRoc Nation側では「まあサクッと出そう」という感じでした。でも音楽を聴いて、「お、これすごくいいね?」ってRoc Nationパートナーたちも僕のEPに対する責任感や期待みたいなものが生まれました。もう少し一生懸命やろうとしたり、もっと売れるようにしたり、フィーチャリングももっといい人に受けられるようにしたり。あと、「ラジオでも流れるようにしなくちゃ」「ミュージックビデオも撮らなくちゃ」みたいな反応も出てきて嬉しかったですね。どんな気分だったかというと、僕たちがこれまでやってきたことが無駄じゃなかったということじゃないですか。しかもその方たちはこういう音楽を専門にしてきた方たちなので、認めてもらったわけです。韓国で大衆的にヒットしないとしても、そういう方たちがこういうことを認めてくれるのを見て、「それでも正しい方向に来ているんだな」と思いました。

 

お話の通りだとすると、ヒップホップとR&Bがどちらも入っているみたいですが、[Worldwide]と[Everything You Wanted]を足した感じでしょうか?

若干そんな感じです。本当に言葉通り、アメリカの曲みたいです。ある意味ではポップソングっぽいです。でも僕のカラーがよく出てます。なぜなら全部僕が書いたし、プロデューサーも全部僕も周りのミュージシャンたちだから。それから今ミックステープも準備しています。EPに入らない曲で構成します。確実に今年は面白い一年になりそうです。

 

ヒップホップとR&Bをうまく消化しているという点でChris Brownと似ているという意見が多いです。ダンスもそうですし。ご自分で考えてみてどうですか?

嫌な気持ちになるとかそういうのはないです。実際に音楽スタイルを見るとちょっと違うんですけど。 でも僕もChris Brownがすごく好きです。個人的に「僕が韓国のChris Brownだ」とかそういうのはないですが、みんなだいたいそういう風に言ってますね。アメリカでは僕がK-POPシーンから来たものだからBTSやKris Wuというアーティストとよく比較されます。でも仕方ないと思います。僕たちがアジアから来たので、「全部同じように見えるんだろうな」と思います。僕の活動やキャリア、音楽を分析する機会がなかったので。僕がやることは、これから見せていくことです。僕がどんな人で、どんなカラーで、何が違うのかをお見せします。

 

夏に公開されるアルバムで2 Chainz以外に公開できるフィーチャリング陣はいますか?

とりあえず3人います。1人は今ビルボードHOT100チャートに2曲入ってます。2人はRoc Nation所属です。それだけお伝えします。

 

今回Roc Nationと契約して、レーベルの社長ではなく所属アーティストになりましたよね。心持ちは変わったと思います。新しい場所で始めるので新人のようなマインドが生まれたのではないかと思いますが。

もちろんです。僕は、自分が韓国で少し成功したからと言ってアメリカで「僕がパクジェボムだ、こうやってくれ」なんてのは全然ありません。もちろん、韓国でもそういうことはないですが。ただ楽しく肯定的なマインドでやっています。音楽作業もそうだし、活動もそうだし、ただ面白いです。言葉通り、新人になったような気分で良いです。それから僕がちょっと有利な状況ですよね。新人だけど、ある意味では成功した方法を既に体得しているじゃないですか。僕はそういう知識を持って始めるので色々とラクです。そっちでは「うわ、すごく頑張ってるね。お、音楽すごくいいね?」みんなこんな感じなので(笑)「このくらい基本だけど何?」っていう考えなので良いです。

 

自信が溢れているんですね?(笑)

初めは「僕がそこに行ってうまくやれるだろうか?」って心配もありましたが、人にあってフィードバックをもらうほど「お?楽勝だな?」って思いが徐々に生まれました(笑)

 

だとしたらご自身が考える自分の欠点はありますか?

僕の考えでは、あまりに色んなことをしているのでこれと言って特別すば抜けているものがありません。ラップがJ.Coleくらい上手かったり、歌がビヨンセくらい上手かったり、そういうのはありませんね。色々やっているのでそうなんだと思います。活動もたくさんして、やっていることも多いので。ファンじゃない人が見たら忙しないと感じると思います。少し前に"Forget About Tomorrow"みたいな曲を出しましたが、「いきなりなんでラップ?」「なに?二重人格なの?」って思うかもしれませんし。それが欠点ですかね。

 

謙遜した言い方ですね。

それからみんなを手伝おうとするのが欠点だとも言えます(笑)これがけっこう疲れるんですよ(笑)それでもその人がうまくいったらいいなと思うから手伝うんです。正直、僕が少しだけ時間を割けばフィーチャリングや作業もしてあげられるので。そうしたらその人に何か大きな助けになるかもしれないじゃないですか。なんというか恵まれた状況だと考えます。疲れてもいい方向に考えて、一生懸命生きてます。

 

多くのアーティストが必死に頑張る原動力としてパクジェボムさんを挙げてますが、反対に本人が必死にさせられる人として誰がいるのか気になりますね。

みんなです。みんなが僕を刺激して、僕を一生懸命にさせます。なので僕も反対にそれだけの存在になりたいんですよ。僕は本当にすべての人から刺激を受けます。なぜなら、音楽であれ、スタイルであれ、会話をするときでも、すべての面で刺激を受けます。また、僕がその人に刺激を与えたら、それが反対に僕にとっても刺激になります。言葉通りシナジーでしょう。いい刺激をお互いに与えれば、シナジーが生まれるのですべてがうまくいくんです。僕がみんなに良くしようとするのはこのシナジー効果を起こすためです。

 

最近コンサートの映像を公開しましたよね。このコンサートがこれまでの4年を締めくくるコンサートだったとおっしゃっていました。だとすれば、パクジェボムさんが夢見るこれからの4年はどんな姿でしょうか?

幸せな悩みですが、少しずつステージが大きくなって僕を呼んでくれるところが増えました。その都度、僕は選択をしなければなりません。体はたった一つじゃないですか。与えられた時間は24時間ですし。なので僕の時間と努力と情熱をどこに注ぐかが今の一番の悩みです。あるところに投資したら他のところでは何かを得られなくなります。ゲームみたいです。僕にとって何が重要なのか、僕が得たいものは何か、叶えたいものは何か、僕の時間をどこに投資するかをすごく考えています。

 

これからはRoc Nationに集中する時間が増えそうですね。

もちろんです。こんないい機会が生まれたので、最善を尽くします。ですが、だからといってこれまで積み上げてきたものを無視することはできません。バランスをどう保つかがこの先数年の大きなポイントになると思います。

 

多くの人がパクジェボムさんをロールモデルに選んでいますが、実際にパクジェボムさんはどんなアーティストになりたいのか気になります。 

僕は本当にそういうのはありませんね。「こんなアーティストになりたい」というのはありません。なぜなら、僕は音楽を始めたときから最終的な目標がありませんでした。僕は音楽を単に趣味として始めました。芸能人になる考えもなかったけど、母が僕がダンスしてるのを見てオーディションを受けろって言うので訳も分からず受けたら、急に、偶然、歌手になりました。そうして表に出るようになり、突然自分の音楽をしたくなりました。そのときにチャチャが近くにいて、チャチャがビートを持っていたので一緒に作業をするようになり、そうしてたまたま音楽をするようになりました。それから、「僕も自分のクルーがあったらいいな」と思ってたまたまAOMGをやり始めて。僕が会社を設立するために頑張らなきゃ、という考えはありませんでした。ただ正しいと思う道を進んでいたらこのような良い機会と良い仕事がずっと生まれています。

確実にある程度は気持ちが純粋である必要があると思います。サッパリしていなくては。「お金をたくさん稼いでいい車を買ってこんなことをしよう」と思ったら逆にうまくいきません。お金、有名税、車、女、そういうのは全部自分の道をずっと進んでいけば勝手についてきます。目標を立ててそれを達成してしまったらその先には何がありますか?何もないじゃないですか。だから僕はその枠にはまるのが嫌です。ただ思うままに、そのときに達成したい目標を達成していきます。その次は各自が判断する時間でしょう。人々が「パクジェボムはこういう歌手だ」と思ったら、僕はそういう人になるんです。僕がこういう人になりたいと思ってすべてがうまくいくわけではないので。ただ僕は僕らしくありつつも、僕がどんな人なのかは世間が勝手に判断するわけです。

 

Jay-Zがある意味ではパクジェボムさんと似たようなポジションじゃないですか。実際にそういうロールモデルみたいな人に会うまでになり。ああ、僕もああいう風になれたらいいなという思いと、少し具体的な絵は描いたほうがいいんじゃないでしょうか?

僕は「あんな風になりたい」よりは、そういうのが凄いと思います。Jay-Zはそれだけ上り詰めて、お金もたくさん稼いで、音楽をしている人として多くのことを成し遂げたのに、常に新しいステージを広げています。もちろん、お金も稼ぐだろうけど、みんなにとって良いことじゃないですか。Tidalをローンチしたのも、アーティストが努力した分だけストリーミングでは稼げないから何かしてあげたくてやったことじゃないですか。とてもかっこいいです。あの人はあんな上にいるから、正直、下の人間のことは気にしなくてもいいんです。誰が稼ごうが稼ぐまいが、うまくいこうがいくまいが、死のうが生きようが、関係ありません。それなのに人間的なんですよね。ある程度他人に共感して理解しようとして、それで何かを助けようとして。そういう気持ちがあるというのが凄いですよね。これまでJay-Zもたくさん傷ついたでしょう。裏切られたり、たくさん嫌なことがあったと思います。でも冷たくならずに、むしろ心が広くなってもっと助けようとして、そういう部分がすごくかっこいいと思います。そういう面は似たいですね。どんなに上り詰めても変わらずに、人間として成長したいです。僕がJay-Zのようにお金を稼ぎたい、グラミーアワードで賞を取りたいという気持ちはありません(笑)人として、人間として、近づきたいですね。

 

Jay-Zのように事業や他の分野に挑戦する考えはないのでしょうか? 

ひとまず、そこまでやったら僕が死ぬかもしれません(笑)Jay-Zは助けてくれる人がたくさんいます。Jay-Zの下で働く人は500人だか1000人くらいいるでしょう。それに比べたら僕たちはまだ小規模なので、それは後々考えます。Jay-Zはもう50歳に近いけど、僕はまだ32歳なので(笑)

 

Jay-Zシャンパン関連の事業をしていませんでしたか?今回の新曲に出てくるソジュ関連の事業をしたほうがいいんじゃないですか?

はい、Armand De Brignacですよね。ああ、ソジュやらなきゃですね(笑)でも簡単なことではありません。

 

最後の質問です。新曲を聴くファンの方に一言お願いします。

必ずしも韓国語でなくても、この音楽を聴いてくれたら嬉しいです。なぜなら、ソジュはみなさんご存知じゃないですか。ソジュを飲むときにこの曲を聴きながら楽しんで、応援もたくさんしてください。僕も皆さんを代表してあっちで頑張りますので。MMA競技に出るような感じで(笑)だからたくさんの応援をお願いします。これから出す音楽もたくさん期待してください。ありがとうございました。

 

 <終>