風の歌を聴きながら

韓国語レベル万年中級者の気まぐれ翻訳ブログ。

HYUKOH オヒョク インタビュー(エスカイア)【和訳】

현재의 오혁 | 에스콰이어 코리아 (Esquire Korea)

2019.07.23

 

現在のオヒョク

オヒョクは境界について考えたことがない。

 

 

ニュース見ましたか?歴史的な日に立ち会いました。曲の中に統一についての曲がありましたよね?

「Gang Ganh Schiele」という曲があります。これ実はただの「カンガンスルレ(民族演舞)」です。ドイツで作業をしていて「シーレ」というドイツ風の名前が思い浮かびました。Egon Schieleのシーレです。

 

私は今日のニュースを見ながらその歌の中の「Over the fake iron wall」という歌詞が思い浮かびました。今日トランプが金正恩板門店軍事境界線を越えて北側に行くのを見たら、境界線はたいしたものではないと感じました。偽りの鉄壁を越えたということです。

この曲の意味は心からの謝罪です。平和が来たら良いなと思っていますし、いい方向に進んでいっていると思います。最も最善の方法で平和が来たら良いなと思います。

 

4年前に<Huffingtonpost Korea>でヒョゴを紹介したときは、インディー界の「スーパーノバ」と紹介していました。

僕が自分たちをそうやって紹介してましたか?

 

違います(笑)私がヒョゴを紹介するときに「新星」と紹介したんです。でも今や海外ツアーを回るほどのワールドクラスになりましたね。

ワールドクラスではないと思いますが、海外公演に意識を向けているのは事実です。以前は海外公演については漠然としか考えていませんでした。でも海外にも僕たちのことを好きな方たちがいたんです。一度行き始めたらその体験がとても良くて、もっと多くの方に僕たちのことを知ってもらえたらな、と思うようになりました。

 

HPの日程表を見たら2月から3月まで、13の都市を18日で回っていましたね。会場も思ったよりも大きいところでした。例えばパリでは1000人規模のLe Torianon、シンガポールでは2000人規模のEspalnade Bay Theaterを埋めました。単独でワールドツアーをしてこの規模の観客を集められる韓国のロックバンドは他にいないのではないかと思います。現地での反応はどうですか?

アジア圏と英米圏、ヨーロッパでは公演の楽しみ方がちょっと違います。それぞれ魅力があります。例えばフランスでは公演が終わったら観客が歌を歌っていたんです。最初は揶揄なのかと思ったのですが、実際はアンコールを求めるときに歌う歌でした。同じ歌をドイツのサッカー場で応援団が歌っているのを聞きました。 そういう瞬間が本当に楽しい経験です。

 

パリでしたっけ?感動したでしょうね。

はい、パリでした。あのときは本当に楽しかったです。また、日本の観客も本当に集中しているのを感じます。曲を演奏している最中は踊ったりしながら各自楽しんでいても、曲が終わって間があるときには僕が水を飲む音が全部聞こえるくらい静かになります。鳥肌が立ちました。

 

公演中にMCをしないことで有名ですよね。前に行った公演ではファンが「なんか喋って!」と叫んでいましたよ。 

一種の好みですが、公演を観に行ったら良い公演を観て帰りたいんです。MCを聞きに来ている方もいらっしゃるでしょうが、僕が上手く出来ないこともあって、無理に僕がやることでもないと思って減らしています。

 

コーチェラも出演したでしょう?伝統的なドラム、ベース、ギターで構成された英米スタイルのロックバンドとしては初めてな気がします。どうでしたか?

コーチェラ、本当に大変でした。

 

なぜですか?

スケジュールもキツキツで、自分たちで直接バスを運転して回りました。都市数をもう少し減らして良いホテルに泊まりながらやることも出来たんですが、せっかく行くのならまだ体力もあるしちょっと多めにやってみようと思ったんですよね。もちろんマネージャーと友人たちもいたので、交代で運転しながら適当にご飯を食べながら回りました。僕たちがコーチェラではどうしても知名度が高くないので、サウンドチェックを朝7時にやれと言われたんです。朝5時に運転してサウンドチェックをしに行って、終わったら気絶したように寝るのですが、日が昇ったらあまりに暑くて起きて。そんな感じでした。

 

どういうことですか?どうしたらスケジュールがそうなるんですか?

コーチェラで1週間おきに2回公演したのですが、 ロサンゼルスに入国して600km運転してまずフェニックスに行きました。フェニックスで公演を終えてコーチェラに戻って1回目の日曜日のステージに立ち、また荷物をまとめてサンディエゴとロサンゼルス公演を終えて2回目のステージに立ちました。他の都市からコーチェラの宿に戻り翌日の朝7時にサウンドチェックをしろと言うのですが、ホテルから会場まで行くのだけでも車で2時間かかるんですよ。(HYUKOHは4月14日と21日の2回コーチェラのステージに立った。)

 

それはとても疲れたでしょう。今調べてみたら総移動距離が少なくとも1600kmですね。これほど距離があるならマネージャーだけに運転を任せられませんよね。安全のためにも。

そうですよね。なのでみんなで交代しながら運転しましたよ。運転手を他に2人ほど連れて行けるような状況でもありませんでしたから。

 

ヨーロッパでもそのようにして回ったんですか?

ヨーロッパでは知名度が上がってきています。なので本当に現地のバンドのようにやってみようということでスケジュールを抑えました。大都市だけに絞って飛行機で移動することも出来ましたが、拠点をいくつか決めてバスで回りました。ベッドがついているバスご存知でしょう?

 

かっこいい。まさに映画<Almost Famous> に出てくるバンドの姿ですね。

でも大便が出来ないんです。

 

ええと、どういうことですか?

バスにトイレがあることにはあるのですが、15人くらいで1つのバスを使うのでそれが出来ないんです(詳しい理由は省略)。必ずサービスエリアで解決しなければならないのですが、サービスエリアに行ったときにすぐに用を足せるわけではないので...。意外にもヨーロッパのサービスエリアのトイレはキレイでした。

 

大変ですね、本当に。もちろん若いから体力も持つんでしょうけど。

体力、持ちません。すっかり体力が落ちました。いったい他の人たちはこんなことをどうやってやっているのか分かりません。それでも公演が良かったら全部忘れられます。自己評価したときにその日の公演はよく出来たと思えたら、それで報われます。次の日に起きて大変だとぼやいたとしても、その日の公演が良ければまた全部忘れます。

 

コーチェラは少し格が違うフェスティバルですが、今までのフェスティバルと違う点は何ですか?

特別な部分は特にありませんでした。全て似通っていますが、警備が本当に頑丈でした。アーティスト用の電子リストバンドを検査台に当てて、ランプが付かないと通過出来ません。外からアーティストアクセスエリアまで行く間に検査台を8回は通ります。

 

楽しむ雰囲気はどうでしたか?

公演も見たりしたんですが、全部似てますね。自分が好きな人が出てきたらとりあえずスマホを出して撮って。

 

有名なミュージシャンの中には変わったライダー(ミュージシャンの特別要求事項に関する文書)を要請するケースがあるじゃないですか。控室に新しい洋式トイレを要請する人(マドンナという説がある)がいるかと思えば、One Directonは卓球台を設置してほしいと言ったらしいです。ヒョゴはそういうのはありませんでしたか? 

とりあえず僕たちは特別なものはありません。出されたものを受け入れるタイプです。アメリカに行ったらJamesonくらいのありふれたウィスキーを頼む程度です。 飲んでも頭が痛くならない程度の度数です。もちろん僕がライダーを直接書くわけではありません。

 

海外のアリーナで公演するレベルのスーパースターになったら他に要請したいものはありますか?

僕は控室が広すぎないと嬉しいです。将来アリーナクラスになっても一緒に集まれる場所が良いです。他は特に、まあ果物くらいは頼もうかなと思います。

 

ところで以前お酒は飲まないと言っていた気がしますが。

そうです。当時はお酒が飲めなかったのもあり、(お酒の味が)よく分からなかったのですが、今は飲みます。ビールを飲んでみましたが美味しかったです。 それからワインを飲んでみたらそれもまた美味しくて、少しずつ飲んでいたら今度はウィスキーにハマりました。でもいつも一人で飲むので。

 

本当のお酒の味が分かる歳になったんですね。メンバーとは一緒に飲まないんですか?

一緒に住んでいれば一緒に飲むでしょうけど、メンバーの家がちょっと遠くて。 

 

ワールドツアーを回り始めて2年が経ちました。デビューから最新のアルバムまで計算してみたところ、約1年半ごとに1枚作品を発表していました。アルバムであれEPであれ全て含めて。作業する時間が足りなかったりはしませんでしたか?

昔は(効率的にやる方法が)よく分からなかったので時間がかかったんだと思います。でも今は効率的な方法を知っています。「やりたいときに楽しい気持ちでやる作業」が、人が出せる最大の効率を出す方法だと思います。ツアーをしているとそういうときが移動中にもあります。ツアーは移動も多いので都度都度作業しています。

 

アメリカツアーバス、のようなコンセプトで絶対にまた画報を撮らなければいけませんね。ツアーバスの椅子に、ギターを持って横たわりながら作業する姿をです。ところで今27歳でしょう?友人たちもそろそろ就職する歳ですよね。20代前半の頃とは何か心持ちは違いますか?

変わりたくなくても変わらざるを得ないような気がします。僕の気持ちがあのときとは違うというのを感じます。当時気になっていたことに対する若干の回答を得て、その方向に気持ちが変わったんだと思います。全ては幸せになろうとやっていることなので、幸せになれる最善のバランスを探そうとしています。

 

幸せについて言及したことで思い出したのですが、<23>アルバムを聞き返しながら歌詞を見てみると厭世的でちょっと憂鬱な部分が感じられました。

もともと僕が明るくポジティブなエネルギーが溢れている快活な人ではありません。そのアルバムを作っていた当時がそういう状況だったんだと思います。

 

<24>アルバムのサブタイトルが「真実の愛と幸せを探す方法」じゃないですか?2年の間に何かあったんでしょうか?

実はそのタイトルも本当に探す方法を提案しているのではなく、方法を探してみようという意味なんです。僕は答えを示せるような立場ではありません。これからもずっとそうです。こういうサブタイトルを掲げて、僕が悩んでいる部分と考えを共有しようという意味合いでした。

 

そろそろ次のアルバムを準備する時期になったということですか?

次はいつも準備しているし、今も準備中です。

 

時期も決まっていますか?

それも考えています。僕たちが「この歌はこのくらいならOK」と思ったらその何ヶ月か後に作品が出るでしょう。

 

アルバム単位の作業は全体的な曲をまとめる主題意識が必要じゃないですか。

次のアルバムも真実の愛と幸せを探していく過程についての話になると思います。

 

最近の2枚(<23><24>)をノーマンニーチェというドイツのエンジニアと作業しました。この方が手掛けたアルバムは数百枚にのぼる超人です。「The Whitest Boys Alive」と「Kings of Convinience」のErland Oyeに対するファン心から連絡したのですか?

そうです。僕が一番好きなErland Oye(オヒョクの公式「最愛」ミュージシャン)のアルバムをエンジニアリングした方なので一緒にやりました。

 

ノーマンニーチェはヒョゴが求めるサウンドを上手く引き出してくれましたか?

長いことプロエンジニアとして活躍してきた方なので、経験に基づくアドバイスをたくさんいただきました。アルバムを出すときに新たなチャレンジをしてみるタイプなのですが、僕たちが新たな作業方法を提案したらオプション2,3個を追加してくれるという風に。

 

ノーマンニーチェと神経戦も少しあったと聞いています。

僕は技術的な部分についての理解度が足りず、彼は僕が曲を書いた背景についての理解が足りないので、些細なことで争いました。ボリュームを下げるかどうか、リバーブ(音の残響)を入れるかどうかということで。その方は言った通りにしてくれる方ではないんですよ。

 

ではプロデューサーの役割もしたんですか?

ドイツだからかなのか、エンジニアリングの領域が少し広いんだと思います。サウンド的な部分についてミュージシャンと一緒に意見を交わすところまでが彼の考えるエンジニアリングの領域でした。録音だけしてくれる技師ではないようです。だから<24>には共同プロデューサーとして記載しました。

 

ミュージシャンたちがアルバムを出すときに、一般の人たちは何が重要なのかもよく分からないマスタリングやミキシングをやり直して発売が延期になることがあるじゃないですか。<24>もマスタリングに時間がかかったでしょう?マスタリングによって大きな差が出るのですか? 

僕たちが求めるサウンドを作るには、録音機材が少し不足している部分がありました。結局、完成品でも求める形態を完璧に再現出来ませんでした。僕はこの過程をいつも料理に例えるのですが、材料(録音した音源)が美味しくてこそ料理(ミキシングした音源)が美味しくなります。材料が美味しくなければ、どんなに調味料を入れてソースをかけてもそれは全てソースの味です。結局美味しい料理は材料から始まるのだと、そういう気付きを得ました。(楽器と声を)録音する過程が材料を集める過程で、ミキシングは料理をする過程、そしてマスタリングは最終的なデコレーションだと思ってもらえれば大体合っています。

 

デコレーションをしていたら材料が微妙だったことに気付いたということですか?

実際頭では分かっていました。分かりたくない気持ちだっただけで。ミキシングに入ったらどうにかなるだろう、なんとか活かさなければと思っていたのですが、活かすことが出来ませんでした。<24>では特にトーンが問題でした。録音段階で全てを解決して乗り越えなければなりません。しかしそれを知らない人がどこにいると思いますか。やらないだけです。 

 

ヒョゴが商業的な成功を積み重ねながら、ソングライターとして悩みはしませんでしたか?例えば「ファンが好きそうな曲を作るのか、自分が作りたい曲を作るのか」という葛藤です。

マズローが唱えた人間の欲求5段階というのがあるじゃないですか。そのうち最も高いレベルの欲求がまさに自己実現欲求です。自己実現しようと苦労しながら作業するわけじゃないですか。それについての価値判断自体をしないようにしています。

 

質問した私が恥ずかしいですね。

僕たちの音楽をずっと聴いてくださっている方々に対する期待と信頼があります。「良いものは良い」という信頼です。僕の基準で良いものを出せば、僕たちの音楽を好きな方々も好きになってくれると思っています。人が努力したから出せるものが必ずあって、それを越えたところに成果物があるんだと思います。作り手が与えられた才能を存分に発揮して楽しみながら出した成果物です。また既存のファンでなくても、そういう成果物にはほとんどのリスナーが思っている以上の良い部分を感じていると思います。

 

では最新アルバムである<24>で「これがメイン料理だ」と言える曲は何ですか? 

それ自体が一皿です。EP全体が、ひとつのプレートに載っているひとつの料理です。 

 

ものすごい自信ですね。最新アルバムを聴くと、初期のダンサブルな曲がなくなりほとんど伝統的な8ビートロックに近いナンバーが増えたように思います。

最近ほどジャンルが無意味な時代はないと思います。昔の方式で分類できる手段がありません。

 

ジャンルが変わったというよりは自身がやりたいことをやっているだけ、感性が変化しながら自然とジャンルの境界を越えていたのでしょう。以前「秋休み」のケピに会ってインタビューしたとき、ヒョゴがIUとチェビタバン(ホンデの小規模なライブハウス)で電撃公演をした件の象徴性について話したことがあります。そのときケピが「ヒョゴは下から上がって行ってIUは上から降りて来て、インディーズとオーバーグラウンドの境界が既になくなっている」ということを言っていました。私もやはり、オヒョクとヒョゴが境界を壊す象徴性を持っていると思います。インディーズとオーバーグラウンドの境界、それぞれのスタイルとそれぞれのジャンルの境界、ファッションとアートの境界をなくしているという感じです。

実は境界というのがあるということを考えたことがありません。努力の境界を超えたことはあります。他人がやっていることをまたやることは、僕にとっては大きな意味がありません。

 

考えてみるとダダイズムクラブやノサンホ作家など、いわゆる「アート力」が溢れている方々と集まって境界を越えて芸術集団を形成していますね。

僕は人徳がある人のようです。なぜか気付いたらこんなにもいい出会いがありました。うまい具合に出会って、うまい具合に馬が合うんです。端から期待してないわけではありませんが、友達ですからそんなに大きな期待をしません。だからずっと楽しく一緒にやれているんだとおもいます。

 

ノサンホ作家の絵がプリントされたTシャツを着てあるギャラリーのオープニングに行ったら、みんなその作品に気付いてくれました。ダダイズムクラブもあちこちで旺盛に活動中ですよね。以前のインタビューを見たらその集団について「僕たちが全部持っていく」と言っていたことがありましたよ。

そんな不可能な話をなぜしたのか分かりませんね(笑)楽しくやるのが大事だと思います。

 

最近その友人たちと一緒にやった作業はありますか?

来週久しぶりにダダイズムクラブと一緒に作業する予定です。かなり面白くなりそうです。ダダイズムクラブとはアーカイビング作業ですが、まだ詳しいことは話せません。

 

友人以外にコラボしてみたいアーティストは誰ですか?

カニエ・ウェストカニエ・ウェストと何かしてみたいです。素晴らしい人だと思います。

 

本当に才能溢れる人物のうちの一人ですよね。アメリカ大統領戦への出馬宣言もして。

でもみんなが予想していていたことではないですかね。

 

オヒョクはDemna GvasaliaのVetementsを好きな芸能人として挙げられていますよね。Gvasaliaが携わっているBalenciagaを着ていますが、思うところはありますか?

次のシーズンの服が強烈でした。ブーツもショーで見たときより存在感が大きいです。

 

それでもよく似合っていますよ。身体的特徴があるそうですが。

手足が長いです。リーチが180cmで足の長さが109cmです。なんというか、猿みたいな感じでしょう?僕はそういう見た目です。

 

 

 <終>