風の歌を聴きながら

韓国語レベル万年中級者の気まぐれ翻訳ブログ。

Woo WonJae ウウォンジェ - 窓 (VISLA MAGAZINE)【和訳】

https://visla.kr/essay/96566/

2019.07.19

 

窓 WINDOW

Brian Eno - By this river

 

 常にそうだったのかはよく分からないけれど、時間は本当に早い。生まれてから瞬間瞬間が過ぎていき、過去という正体不明の夢のようなものばかりがしっかりと積み重なり、終わりに向かって走っていく。夢ではないかも知れないがとにかく、僕はいつもそれが不満だった。かっこいいおじさんたちはー黒のタートルネックに無線マイクをひとつ握りー首に血管を浮かばせながら僕たちに今を生きろと言うけれど、いくら考えてみても今をどう感じればいいのか、いや、初めからそれが一体なんなのか、少しもピンと来ない。ひょっとすると僕たちの瞬間は、積み重なってきた過去を振り返ることと訪れる未来を見越すこと、ただその二つが全てなのではないかと思う。今というものは初めからないのだろう。

 そう信じているからか、僕は自分を含めたすべての事柄を見つめる時、流れていくなにかとして見る。いや、そう見える。今売れているスターを見ようが、恋愛に敗れた悲恋の男性主人公を見ようが、チュールを食べる愛猫を見ようが、不安がる自分自身を見ようが、特になんの思いもない。まあ、流れていくだろう、そのうちなくなるだろう、そうでないとしても確実に終わりはあるから騒ぐことはないだろう。

 僕は適度に名のある音楽家だ。野望はなく、やりたいことを最大限たくさんやって、やりたくないことは最大限やらずに済むように、静かに流れていきたい。それから幸せになりたい。今はないから、振り返る過去に後悔がないように、先の未来に大きな心配ばかりがないように生きたい。この曲の雰囲気と速度、それから半分くらい聞き取れた歌詞のように。

 

 

〈終〉